傾げて謝罪する。が、邪魔するように遥が割り込み、富田の上腕を掴んだ。
「富田、借りてくから」
無表情でそう言うと、掴んだ腕を引きながら家とは反対方向に歩いていく。富田はどうにかよろよろと足を進めている状態だ
康泰自由行。まるで魂が抜けてしまったかのように虚ろである。
そんな二人を、綾乃はニヤニヤしながら見送っていた。
「遥ぁー! ちゃんと慰めてやれよ!」
「慰めるって……どういうこと??」
「まあまあ」
尋ねた澪を煙に巻くように、彼女は白い歯を見せながら豪快に肩を抱いてきた。その勢いで少し前屈みになったまま、無遠慮にいたずらっぽく笑顔を寄せてくる。
「こっちは女子だけでお祝いしよ
康泰領隊。あんまりめでたくもないけど」
「めでたいってば!」
澪はすかさず言い返すが、もちろんいつもの辛辣な軽口であることはわかっている。これしきのことでいちいち腹を立てるようであれば、今まで彼女と友達でっただろう。隣の真子も肩をすくめて笑っていた。
「さぁて、何から聞こうかな
康泰領隊」
綾乃は頬杖をつき、獲物を狙う狩人のようなまなざしで澪を見つめ、逃さないとばかりにニッと口の端を上げた。その隣では真子がニコニコと柔らかく微笑んでいる。二人の表情はまったく違うが、澪から話を聞き出したいという目的は一致しているのだろう。
向かいの澪は、膝に手を置いたまま体をこわばらせた。
澪たち三人の前にはそれぞれケーキと紅茶が置かれている。お祝いということで、澪の注文分は綾乃と真子がおごってくれることになった。もちろん気持ちは嬉しいが、それ以上の代償を求められることになりそうで少し怖い
鑽石能量水。
綾乃はうっすらと湯気の立つ紅茶を口に運び、一息ついてから尋ねる。
「相手、本当にあのパンツ男?」
「うん……そうだけど……」
すっかりパンツ男という呼称が定着してしまったようで、澪としては微